選挙運動の公費負担(選挙公営)とは、立候補する人の負担を減らし、資産の多少にかかわらず立候補や選挙運動の機会を持てるようにする制度です。
公職選挙法の一部を改正する法律の施行(令和2年12月12日施行)に伴い、町村議会議員一般選挙及び町村長選挙に係る費用の一部が公費負担(選挙公営)の対象となります。また、町村の選挙公営制度の拡大と併せて町村議会議員選挙に選挙運動用ビラの頒布解禁と供託金制度が導入されました。
対象となる選挙運動費用
選挙運動用自動車の使用、選挙運動用ビラの作成、選挙運動用ポスターの作成に関する費用について、限度額の範囲内で公費負担の対象となります。ただし、公費負担の対象となるのは、供託物が没収されない場合に限られます。
町議会議員選挙における供託金制度の導入
供託は、これまで町村において議会議員選挙の対象ではありませんでした。
供託金は、原則として現金又は債券で供託することになっており、公職選挙法第92条の規定により候補者は、供託所に供託をしたうえ立候補の届出に際し、供託を証明する書面(供託書)を提出することとなっています。(供託金の取り扱いは、法務局です。)当選若しくは一定の以上の結果を残した場合には供託金は全て返還されますが、得票数が供託物没収点に達しない場合は没収されます。
〇供託金の額について
区分 |
供託金の額 |
供託物の没収点 |
町議会議員選挙 |
15万円 |
(有効投票の総数÷議員定数)×10分の1 |
町長選挙 |
50万円 |
有効投票の総数×10分の1 |
公費負担の対象と限度額
〇公費負担の種類
区分 |
公営の有無 |
備考 |
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選挙運動用 自動車 |
選挙運動用 ポスター |
選挙運動用 ビラ |
選挙運動用 ハガキ |
||
町議会議員選挙 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
供託金として15万円が必要となります。 |
町長選挙 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
供託金として50万円が必要となります。 |
〇公費負担の対象
(1)選挙運動用自動車の使用
告示日から選挙期日(投票日)の前日までの5日分が公費の対象となります。
なお、選挙が無投票となった場合は、告示日(届出日)の1日のみが対象となります。
区分 |
基準限度額(A) |
選挙運動期間(B) |
限度額(A)×(B) |
|
一般運送契約※1 |
64,500円 |
5日 |
322,500円 |
|
その他の契約 (個別契約方式) |
自動車の借入契約※2 |
16,100円 |
80,500円 |
|
燃料の供給契約※3 |
7,700円 |
38,500円 |
||
運転手の雇用契約※4 |
12,500円 |
62,500円 |
備考 「一般運送契約」と「その他の契約(自動車借入契約、燃料の供給契約、運転手の雇用契約)」をともに契約した場合は、候補者が指定するいずれか一方の契約のみが公費負担の対象となります。
※1 一般運送契約:ハイヤー等契約方式で、自動車の借入から運転手雇用までの一括契約
※2 自動車の借入契約:自動車選挙運動用自動車として使用された各日の料金の合計額(1日につき1台に限る。)
※3 燃料の供給契約:選挙運動用自動車に供給した燃料の代金
※4 運転手の雇用契約:選挙運動用自動車の運転に従事した各日の報酬の合計額(1日につき1人に限る。)
(2)選挙運動用ポスターの作成
ポスター掲示場の数(A) |
基準限度額(B) |
限度額(A)×1.1×(B) |
60 |
1,000円 |
66,000円 |
備考 公費負担(選挙公営)作成枚数66枚:ポスター掲示場×1.1=66枚
「1.1」を乗じたのは、ポスター掲示場の数(60箇所)に選挙運動用ポスターの貼り替え分を考慮して公費負担分の作成を66枚の上限としたためです。なお、実際に作成した枚数・単価が上限に満たない場合は、上限に満たない枚数・単価により算定した額が公費負担の対象となります。
※選挙運動用ポスターの掲示方法等について
(1)ポスターは、立候補の届出が受理された後でなければ掲示することができません。
(2)ポスターを貼る場合は、掲示場にあらかじめ付けてある番号と、立候補届出順位とが一致する場所に貼らなくてはなりません。
(3)大きさは、長さ42センチメートル、幅30センチメートル(タブロイド型)以内です。
(4)ポスターの表面には、掲示責任者及び印刷者の住所氏名(法人の場合は所在地と法人名)を記載しなければなりません。
(3)選挙運動用ビラの作成
選挙運動用ビラは、町選挙管理委員会が交付した証紙が貼付けされたものでなければ頒布できません。大きさは、長さ29.7cm、幅21cm(A4版)以内です。
区分 |
上限作成枚数(A) |
基準限度額(B) |
限度額(A)×(B) |
町議会議員選挙 |
1,600枚 |
7円73銭 |
12,368円 |
町長選挙 |
5,000枚 |
38,650円 |
備考 実際に作成した枚数・単価が上限に満たない場合は、上限に満たない枚数・単価により算定した額が公費負担の対象となります。
(4)選挙運動用通常ハガキの利用
郵便局で選挙運動用通常ハガキの交付を無料で受けることができます。
また、郵便局で「選挙用」の表示を受けた選挙運動用通常ハガキを無料で郵送することもできます。
区分 |
上限枚数 |
郵送料 |
町議会議員 |
800枚 |
公費で負担 |
町長選挙 |
2,500枚 |
公費負担(選挙公営)が受けられる条件等
〇必ず有償契約を締結しなければなりません。
公費負担の適用を受けようとする候補者は、それぞれ業者等と有償契約を締結し、町選挙管理委員会に届け出なければなりません。なお、無償の場合は、公費負担の対象になりません。
〇公費負担が適用される額には、限度額があります。
公費負担の限度額については、候補者1人当たりの基準限度額や個々の契約ごとの上限額の両方が定められています。この限度額を超える額については、公費負担の対象となりません。なお、契約した額が公費負担の限度額を下回る場合には、その契約した額が公費負担となります。
〇必ず所定の手続きをしなければ公費負担の支払いを受けることができません。
公費負担が適用となる場合、町は業者等からの請求に基づき、候補者が支払う金額の一定額を業者等に支払います。この費用の支払いには所定の書類が必要ですので、必ず定められた手続きをしなければなりません。
〇公費負担の支払方法
公費負担による支払いは、町から候補者に直接支払われるものではなく、業者等から町への請求に基づき、業者への口座振替によって支払われます。
〇候補者に係る供託物が没収された場合は、公費負担の対象となりません。
候補者に係る供託物が没収された場合は、公費負担の対象となりません。供託物は、候補者の得票数が一定の数(供託物没収点※「町議会議員選挙における供託金制度の導入」参考)に達しないときのほか、候補者が当該候補者たることを辞した場合にも没収されます。